今週、2023年9月27日(木)に農林水産省に行きました。
表題にある「ISO/TC238国内審議委員会」の第1回委員会に参加するためです。
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これがなかなかややこしい話なので、ブログで簡単に説明するのは難しいのですが、やってみます。

まず、ISO/TC238とはなんぞや?ですが、ISO(国際標準化機構:International Organization for Standardization)の技術委員会(TC:Technical Committee)の一つで、固体バイオ燃料(Solid Biofuels)を取り扱っています。

つまり、ペレットを含む木質燃料の国際的な規格を決めている総本山です。
議長国はスウェーデンで、2007年にこの委員会が設立されました。

ペレットの規格は、過去にスウェーデンのSISやオーストリアのÖNORM、ドイツのDINなどバラバラだったのですが、各国がEUに加盟したことで、EUのCEN/TC335(欧州標準化委員会:European Committee for Standardization)で2003~2006年まで固体バイオ燃料の規格が議論され、EN14961としてまとまりました。3年かけて欧州内での統一規格ができたという訳です。

そのEN規格を、国際的により上位のISO規格へと引き上げようというのがISO/TC238の主な目的で、2021年にISO17225として発行されました。

このISO/TC238は現在23ヵ国のPメンバー(提案と投票ができるParticipants)と25ヵ国のOメンバー(Observer)で構成されています。

【Pメンバー】オーストラリア、カナダ、チリ、中国、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、ハンガリー、インド、アイルランド、イタリア、リトアニア、マレーシア、オランダ、ノルウェー、ポーランド、南アフリカ、スペイン、スウェーデン、スイス、英国、米国

【Oメンバー】アルゼンチン、アルメニア、バルバドス、ベルギー、フルガリア、コロンビア、コスタリカ、クロアチア、チェコ、エジプト、エストニア、イラン、イスラエル、日本、カザフスタン、韓国、モルドバ、モンゴル、ニュージーランド、フィリピン、ルーマニア、セビリア、スロバキア、スリランカ、タイ

TC238では、固体バイオ燃料に関する48もの規格が既に成立しており、現在も10の規格が議論されている最中です。

概要をご覧になりたい方は下記のサイトを見てください。

日本はTC238の設立以来、Oメンバーとして参加しており、日本では農林水産省大臣官房環境バイオマス政策課がISO/TC238の日本国内での審議団体として、ISOからの連絡を受け取り、日本国内の関係機関に情報を伝達してきました。

とはいえOメンバーですから、基本的には一方通行の連絡で、ISO/TC238の定める規格に対して日本から具体的な提案ができない状況が続いていました。

日本を取り巻く状況としては、2012年にFIT(再生可能エネルギー固定価格買取制度)が導入されたことで、日本はバイオマス発電用に大量のペレットやチップを輸入する国として世界中から認識されるようになりました。

また、最近では、日本木質ペレット協会の尽力により、これまで統合できていなかった国内のペレット規格がJAS規格として今年の6月に制定されました。
JAS0030木質ペレット燃料 2023年6月15日

ちなみにこのJAS規格は2017年11月に第1回の委員会を開催し、途中にコロナ禍を挟んだとはいえ、成立までに6年を要しました。そしてその内容はISO規格とほぼ同じですので、実質的に日本のペレット規格はISO規格なのだと言えます。

そのようなことから、ISO/TC238に対して、日本はこれまでのOメンバーではなく、Pメンバーとして関与するべきだという議論が起こり、2019年4月に固体バイオ燃料国際規格化研究会(SBFJ)が発足しました。
固体バイオ燃料国際規格化研究会(SBFJ)

SBFJは2023年3月までの4ヵ年、森林総研の吉田さんが代表幹事をつとめられた後、今年4月からは日本木質ペレット協会の岡本さんが代表幹事に就任されました。そして本年9月22日にはSBFJを発展的に解散し、新たにJBSA(一般社団法人固体バイオ燃料標準化協議会)が設立されました。

【JBSA理事】
代表理事 岡本利彦  一般社団法人日本木質ペレット協会会長 
理事   小島健一郎 ペレットクラブ代表理事 
理事   菊井康順  合同会社One Global Access代表 
理事   澤井徹   近畿大学理工学部教授 
理事   武昌信   株式会社サンコー環境調査センター取締役技術部長 
監事   山田昌宏  矢崎エナジーシステム株式会社

そして、ここからが本題ですが、9月27日の国内審議委員会において、ISO/TC238の国内審議団体を農水省環境バイオマス政策課からJBSAに移管する事に対する決議が行われ、無事、承認されました。

今後、移管の手続きがJISC(日本産業標準調査会)で審議された後、JBSAがISO/TC238に対する国内審議団体となります。そして、近いうちにJBSAとして国内審議委員会を開催し、ISO/TC238での地位変更(OメンバーからPメンバーへ)を議論する予定です。

国内審議委員会で地位変更への合意が取れたら、ISOに連絡を入れて、これにてPメンバーとしての活動が開始できるという訳です。

Pメンバーになると、これまでのOメンバーとは違って、複数のWG(作業部会:Working Group)に参加して、規格開発に深く関わることになります。それは電子メールへの応対のみならず、各WGの個別の議論に参加したり、年1回の国際大会に参加したり、ゆくゆくは国際大会のホストを務めることを意味します。

国際感覚の備わった人材が必要であるだけでなく、専門性も必要ですし、そういった人材確保のための予算措置も不可欠です。

そのためには、どうしてISO/TC238にPメンバーとして参加する必要があるのか、そのメリットを明確にせねばなりません。

つまるところ、日本国内でのペレット流通が増えること(国内のペレット市場が発展すること)、その中で規格(あるいは認証)が大切になること、が不可欠なのです。

最大の問題は、発電用に輸入されている400万トン超のペレットに対して、主に熱利用に使われている国産ペレットの生産量が数万トンという、100倍ほどあるこの差をどう考えるかです。

1990年代後半から始まった欧州各国の規格、2000年代に制定されたEN規格、そして2021年に制定されたISO規格の議論はペレットやチップの生産国が主導してきました。

ペレットの純輸入国ともいえるような日本が、TC238のなかでどのような形でPメンバーとしての役割を果たすか、それはひとえに「国産ペレットの発展にかかっている」と私は思います。

温暖化防止、国産資源、国内産業、貿易収支、この辺を考えると、もっと日本の森林資源をうまく利用する政策や技術、習慣を考えていくべきなのです。
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日帰りの東京駅には秋の空がありました。

コンクリートジャングルの都会では電気とガスしか選択肢がないのでしょうけれど、田舎まで電気と石油を使い続ける必要はないと思います。水素でもなく、太陽光と太陽熱とバイオマスが貢献できる場所はまだまだあるはずなのです。