長年、ペレット業界に関わってきて疑問だったのが、ペレットストーブの燃焼ポット内に堆積するクリンカ問題。燃料の種類にもよりますが、最悪の場合こういった灰がポット内に堆積して、継続燃焼ができなくなることがあると思います。

これまでの理解だと、こういった灰は燃料に含まれるケイ素が高温で溶けて、灰と固まって生成できると考えていました。ISOの規格でも、近年は「灰溶融挙動」という基準が加わって、現在はDT(灰軟化点)が1200℃以上と規定されていますが、この温度はケイ素の溶融を対象としたものです。
ところが、ケイ素がそれほど多くないペレットでも、国産のペレットは写真のようなクリンカが発生するので、どういう理屈なのか、さっぱりわかりませんでした。また、こういったクリンカは、ケイ素の溶融によってボイラ内などで生成されるカチカチのものではなく、手で触ると容易に崩れるような、ボソボソのものなので、いったい何なんだろう?と疑問でした。
そこで、昨年、ペレット協会(JPA)と共同で取り組んだ林野庁の開発事業において、全国のペレット生産者に対して、サンプルの提供を依頼し、国産ペレットの成分や灰融解挙動に関する調査を実施するとともに、中部大学の二宮先生に依頼して、クリンカ生成のメカニズムを解明していただきました。
調査の結果はJPAからの公表を待つとして、簡単にいうと、これまで考えられていたケイ素の溶融だけでなく、それよりも低温の状態で、カリウムとカルシウムの共晶が起こっていて、それが例のボソボソのクリンカの原因であることが判りました。
これは、国産ペレットに対する画期的な研究成果であり、今年度も事業を継続し、どうやればこういった問題を解決できるのかを研究する予定です。
ペレットクラブは、国産ペレットにタルクとカオリンの二種類の添加物(いずれも無機の粘土鉱物)を1%混ぜることで、これらの共晶を防止する実験を実施しました。
ただ、これがなかなか難しくて、四苦八苦でした。
試験では、2015年の林野庁開発事業で導入したコンテナ式ペレットプラントを活用しました。

養生したあと、成型するのですが、この時のダイスの選定がなかなか困難で、対象となる原料に対してタルクとカオリンでは成型性が全く異なるため、硬くなったり柔らかくなったり。成型機は新興工機のフラッドダイなので、ダイスの交換やポンチ抜きは比較的容易ではあるのですが・・・。
これが成型機の内部。
そんなこんなでなんとかペレットを成型しましたが、JIS規格をパスするには機械的耐久性が足らなかったり、逆に硬すぎてまともに運転できなかったりだったので、今年度は経済性なども考慮しつつ、現実的な方法を考える予定です。
で、疲れて自宅で読書をしていたら、タルクの文字を見つけました。
その本とは「シャーロックホームズ最後の挨拶」です。

「ランプはごく普通の型のものだったが、ホームズはそれを細心にしらべ、油つぼの寸法をはかったりした。それからレンズをだして、ホヤの上部にはめてあるタルクの覆いをくわしくしらべていたが、その上部の表面にこびりついている灰のようなものをかき落として封筒におさめ、手帳のあいだにしまいこんだ。」とありました。
著者のアーサー・コナン・ドイルが1917年に執筆したもので、日本は大正6年。皆さんが大好きなアイ(AI)ちゃんによると”1917年(大正6年)は、ロシア革命により社会主義政権が誕生し、アメリカが第一次世界大戦に参戦した、世界史的な転換点です。日本は「大戦景気」の真っ只中で、対中関係ではランシング・石井協定が調印され、国内では労働運動が激増しました。”とのこと。
そんな大昔の作品ですが、意外と内容は現代でも違和感のないお話なんですよね。
違いといえば、電話が出始めたころで、主に電報が通信手段なのと、自動車がなくて馬車だったり、自転車がハイカラだったり、ホームズが平気でコカインをやっていたり(まぁ、アヘン戦争で中国に国営の麻薬を売っていたような国ですからね)と、おおらかなところはあるのですが、情報過多で、検索アルゴリズムにどっぷりとハマって、現実から逃避している現代人よりはよっぽと健康的な感じです。
GW中、ネットに埋没している人は、ぜひ、ホームズ集を手に取ってみてください。
タルクが出てきますので(笑)









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